23歳のスープ

具だくさんなスープは、愛のあかし

今日食べたご飯は、母の食事よりおいしかった

大切な人と食べたからです

手間と愛をかけて作る小さなレストラン

また行きたい

 

自分がこうしたいというのがないわたしの話は

大層つまらないことでしょう

流されて生きているから、

自分の声で話している時間が少ない

自然と他人の話をしてしまう

なんておもしろくないのかと自分でも思う

 

あなたはつよくて

 

ひたむきで自分勝手で美人で

こうしたい、を持ってる

あなたの言う言葉は決して

わたしを否定することではないのでしょう

なのに卑屈になってねじける弱さを

許してほしいと思っている

そう思っていることも伝わっている

 

あなたはつよくて

 

どうして大好きなのでしょう

どうしてそばにいてくれるのでしょう

 

ああ、浮かんだのはこんなことを

書きたいのではなかったのに

 

そして今日のスープも

うんこになる

 

体内からは出ていく

いつかのわたしを作った成分も

出ていく

 

男のひとが好きなの

父の代わりにわたしを認めてくれる

存在を肯定してくれる

抱き寄せて、頭を撫でてくれる

いい子だって言われたい

その胸の中で泣いてしまいたい

いつもそんなことを思い描いて抱かれてきた

 

ああつらいな

あの男を待ちながら聴いた曲

挿入してきた青姦の帰り道

自棄を起こした駐車場とか

あのときなにが悲しかったか

鮮明な記憶

笑うときのくせ、手を洗うくせ

あそこの海に行っただの

言われたことのある言葉だの

古いアルバムに入っている写真とか…

ぜんぶぜんぶ捨ててしまいたかった。

 

愛されたかった

男のひとに

強い腕に抱かれて

眠るときが至福

守られたかった

 

ぜんぶすてる。

誰を否定するでもなく、

あなたのように、

朗らかに、

暮らしたいと思う。

 

わたしが男のひとに依存してきた記憶ぜんぶ

違うものに置き換える。

たとえば今日の食事のような

ゆっくりとわたしを満たす

明日を向く力になる

彩りのスープに

 

豊かであるように祈るよ

 

深呼吸すると最近わかる

わたしがしたいこと

奥深くの欲望

だいじょうぶ

それでいい

自分を抱きしめてあげられるなら

それでいい

 

今日のスープをもう一度

明日も朝が来るからおやすみ